曳家工事・沈下修正専門会社 我妻組 のホームページご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は公益性ある店舗の曳家工事の発注から完了までの流れについて、実際にご依頼いただいた内容を元に全3回に渡るシリーズでご紹介させていただく1回目です。

道路拡張で曳家工事を考えている方のご参考にいただければ幸いです。

なお、曳家とは、家引きや曳屋とも呼ばれる建物を解体せずにそのまま移動することで、道路拡張や土地区画整理、敷地有効利用のために既存の建物を別の場所へ移動するために利用される古来からの建設工法です。

今回の店舗の曳家のケース概要は以下の通りです。

所在地埼玉県
物件重量鉄骨2階建て121平米店舗
相談の理由検索で弊社ホームページを見て
工事の理由道路拡張に伴なっての建物移動
現地調査1回(事前打ち合わせは複数回)
移動距離3.36m
検討期間相談から約4年
発注理由道路拡張工事の期日が決定し、工期と予算が合致。
また、信頼できる設計士を弊社より紹介してもらえたため。
工法曳家(基礎共工法)
工期2.5ヶ月
付帯なし

店長さんから曳家の相談
道路拡張工事の場合は、設計士が入るとスムーズになる。

約4年も前のことです。ホームページのお問い合わせフォームより「まだ先のことですが、道路拡張に伴って店舗を曳家で退けて欲しいと市役所等からの話がある。合意の決定のための判断基準として施工金額を知りたい」と、施主様から連絡をいただきました。概算費用が知りたいとのことでしたので、見積依頼フォームより図面書類を送っていただいて、概算見積もりをしました。

また、道路拡張工事の場合は、その曳家工事が安全にできるよう自治体に建設工事の資料を作成する必要があります。これを、施主様側で行うことはとても困難なため、施主様の希望にあった設計士を弊社から紹介差し上げました。以前、他の同様の道路拡張工事で曳家一緒に仕事をした設計士です。

こういった長期的なビジョンで検討する場合は、プロの視点と自治体への資料作成に慣れている設計士が間に入るとスムーズにことが進みます。弊社でも、費用や工事に関する現地打ち合わせに何度も同行しました。

店舗内に設置いただいた工事事務所

今年に入り、道路拡張工事が迫り、無事に自治体との工事内容と金額の折り合いがついて連絡がありました。再度、伺って打ち合わせと工事の契約を行いました。

契約から2ヶ月後施工がスタート。

契約から約2ヶ月後、曳家工事の施工を開始しました。店舗の2階に現場事務所を間借りして、施主様には1ヶ月に一回進捗状況説明していきます。拡張される道路にかからないように移動距離は3.36mですが、店舗運営をしながらの施工で、工事期間は2ヶ月以上かかります。

埼玉営業所から泊まり込みで、4人体制の職人チームが現場に入りました。職長は、曳家のプロフェッショナルの石川です。

建物掘削
基礎まで掘って、ジャッキをセットして建物を支える。

曳家をする上で建物を持ち上げる必要があります。今回は、店舗運営をしながらのため、基礎から持ち上げていきます。一般的な建物の沈下修正工事の場合は手作業による掘削現場がほとんどですが、建物周辺の掘削を必要とする曳家工事ではユンボが大活躍します。

ユンボが入れない建物下の掘削は手作業で行い、ベルトコンベアで土を吐き出していきます。

掘削を終えた箇所から、建物を支えるため土をすぐにジャッキセットを締め固めます。今回のサンドル(組み木)は、鉄骨を使用します。建物重量を見積もり段階で把握していますが、この重量が分かっていないと、物件にあった資材選びができません。間違って選択したり個数を少なく見積もってしまうと建物の損傷になりかねません。重い建物には丈夫な鉄骨を適正個数で使用する必要があります。

鉄骨製のサンドル(組み木)の設置では、沈まないように鋼板を置いてその上に重ねていきます。この時、工事現場ではユニック(移動式クレーン)が大活躍します。今回の物件では、この掘削工事に1ヶ月以上かかりました。

今回の曳家工事ご依頼までのお客様の主な流れ

  1. 曳家で検索
  2. メールと電話でお問い合わせ
  3. 概算見積(お問い合わせから数日後)
  4. 自治体との打ち合わせ(1年以上)
  5. 設計士との打ち合わせ(1年以上)
  6. 曳家工事の打ち合わせ(数回)
  7. 弊社へのごご連絡と本見積
  8. 自治体への工事説明
  9. 契約
  10. 施工

今回は道路拡張工事のため、施工までの長期的な検討と自治体との折衝を要する事例です。これを施主様自身で行っており、工事に入るまでが大変な作業です。この記事をお読みになって、同様のことが何かありましたらお気軽に連絡ください。設計士をご紹介するなどして、施主様の作業を軽減することもできます。

工事の計画については、次回の記事でご紹介します。

最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太