曳家工事・沈下修正専門会社 我妻組 のホームページご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は公益性ある店舗の曳家工事の発注から完了までの流れについて、実際にご依頼いただいた内容を元に全3回に渡るシリーズでご紹介させていただく3回目です。前回の記事はこちら

道路拡張で曳家工事を考えている方のご参考にいただければ幸いです。

なお、曳家とは、家引きや曳屋とも呼ばれる建物を解体せずにそのまま移動することで、道路拡張や土地区画整理、敷地有効利用のために既存の建物を別の場所へ移動するために利用される古来からの建設工法です。

今回の店舗の曳家のケース概要は以下の通りです。

所在地埼玉県
物件重量鉄骨2階建て121平米店舗
相談の理由検索で弊社ホームページを見て
工事の理由道路拡張に伴なっての建物移動
現地調査1回(事前打ち合わせは複数回)
移動距離3.36m
検討期間相談から約4年
発注理由道路拡張工事の期日が決定し、工期と予算が合致。
また、信頼できる設計士を弊社より紹介してもらえたため。
工法曳家(基礎共工法)
工期2.5ヶ月
付帯なし

建物移動、曳家は建物の1/10の引く力が必要。

前回の記事で掘削と移動装置を設置しました。とうとう建物が移動します。

今回の建物の重量は400tでかなり重たい重量鉄骨造です。曳家は建物の重量に対して1/10の力を加える必要があります。40tで建物を引っ張る力を出すワイヤーとそれを支えるアンカーはありません。そのため、今回はジャッキの推す力で建物を移動していきます。

6人体制で、曳家中に建物に歪みがないか水平を見ながら、コロが動いているかなどをチェックしながら、慎重にゆっくりと3.36m移動します。安全のため、建物移動工事の時のみ店舗営業を停止していただきました。

1日かけて1m移動して、3日で3.36mの移動完了しました。

建物の移動が完了すると、調整台をセットしてレールや井桁(サンドル)をバラしていきます。この作業中も地盤沈下を起こさないように安全かつ慎重にに行う必要があります。砂利を敷いて地盤を締め固めています。このバラす作業も2〜3日要しました。

隙間充填、建物周囲に土で土手を作る。

建物の移動が完了すると、以下の図の黄色:床下掘削と青色:事前掘削した箇所に、建物を支えるだけの土と同等の重さの薬剤を注入して埋め戻していきます。

掘削した箇所がしっかりと薬剤で埋まるように、建物周囲に土で土手を作って薬剤を流し込みます。

隅々まで薬剤でいっぱいになったかを確認します。乾き切ったら土を被せて、掘削時の土の処理と周囲の土壌を踏み固めたら曳家工事は完了です。今回は撤収作業の写真はありませんが、工期通り無事お客様に引き渡しとなりご満足いただく結果になりました。

なお、建物移動後の外構工事については、事前紹介した設計士が入って施主様と設計側との計画が進んでいるため、弊社ではこの作業が終わった時点で全工程が完了となります。

そして、この現場で活躍したプロフェッショナル石川をはじめとする職人チームは、次の現場となる能登半島地震被害の新潟県と埼玉県幸手の沈下修正及び嵩上げ工事の現場へ向かいました。

今回の曳家工事ご依頼までのお客様の主な流れ

  1. 工事進捗の報告会議(1ヶ月に一回)
  2. 引渡し(1時間程度)

今回の曳家工事は、道路拡張に伴う工事でした。こういった工事を施主様から直接ご依頼いただくことは稀ですが、弊社を通して設計士をご紹介差し上げ、行政や自治体との打ち合わせや折衝も施主様側でやり切ることができました。もし、同様のご相談があれば我妻組にご連絡ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太