曳家工事・沈下修正専門会社 我妻組 のホームページご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は建設会社様の傾いている売買住宅を不同沈下修正工事の発注から完了までの流れについて、実際にご依頼いただいた内容を元に全3回に渡るシリーズでご紹介させていただく2回目です。前回の記事はこちら。

建設会社様の不動産物件の「基礎が沈んでいる」「壁にヒビが入っている」「傾いている」と思った際に、ご参考にいただければ幸いです。

なお、不同沈下修正工事とは、地盤に何らかの変化があって沈下や不良になった建物を基礎から持ち上げて傾きを直す工事です。主に地震の影響によるケースや軟弱な地盤に家を建てたケースがほとんどで、地下水の汲み上げ等によっても発生することがあります。

今回の住宅の不同沈下修正工事のケース概要は以下の通りです。

所在地千葉県市川市
物件軽量鉄骨2階建て56平米住宅
相談の理由検索で弊社ホームページを見て
工事の理由売買物件が傾いていた。売買が決まったので沈下修正が必要になった。
現地調査1回
沈下状態最大90mm
検討期間相談から約1ヶ月
発注理由工期と予算が合致して即発注となった。
工法耐圧板工法(ジャッキポイント予定15ヶ所、ジャッキポイント実施14ヶ所)
工期2週間
付帯5年補償保険加入

軽量鉄骨住宅の沈下レベル
布基礎の耐圧板工法の不同沈下修正工事

施主様から発注いただき、関東営業所より施工現場に職人が入りました。工事を仕切るのは4年目の奥山です。前回の記事の通り、施主様側で事前に配管周りを掘削して、配管の切り離しをしていてくれました。

今回の地盤沈下による建物の傾きは以下のような数値レベル(mm)になっています。赤字のマイナスが大きいほど地盤沈下しています。

地盤沈下による不同沈下修正工事施工前(千葉県)

最大沈下箇所は90mm、正常な0レベルから最大沈下までの距離は約12mです。
単純計算で傾斜角度が7/1000以上(※)でした。
(※)傾斜角度1/1000が1メートルにつき1mm傾いている状態

沈下修正工事業界では、傾斜角度3/1000ほど傾いていると人間の感覚的には違和感を感じると言われており、6/1000を超えていくと苦痛や健康被害の恐れがあると提唱されています。詳しくはこちら
施主様が、建物の売買前に不同沈下修正をされるとのご判断は懸命だったと思います。

また、最近の住宅はベタ基礎が一般的ですが、今回の基礎は布基礎(防湿コンクリート)です。基礎は、以下の図のような構造になっていて、そこを掘削して耐圧板工法によるジャッキアップして建物の傾きを直していきます。

布基礎

住宅基礎に耐圧板調整台セットのため
最も時間を要する掘削人員増員でスピードアップ

住宅基礎から持ち上げる不同沈下修正工事は、掘削作業がもっとも時間がかかります。全てが手作業による掘削になるからです。掘削作業は一人1日1箇所が限界です。この掘削作業が工事総日数の全体の6割ほど占めます。

今回は売買が決定している物件の工事のため、施主様にとっては早く施工完了したいご要望でした。
通常弊社では、1現場あたり3名体制で施工しますが、そのお客様の要望にあわせてその段取りをしていました。別現場の施工が完了した職人たちを招集し、通常より倍の人数で掘削作業を行いました。そのおかげで、最も時間がかかる作業を約3日で終えることができました。

ジャッキセット&同調ポンプセット
そして、建物の傾きを戻すジャッキアップ!

耐圧板調整台にジャッキセットし、同調ポンプ繋ぎます。建物の傾きを直していくジャッキアップは、この同調ポンプの性能と職人の経験が大切です。沈下修正業者によって使用している同調ポンプはそれぞれで異なりますが、弊社の同調ポンプは繋がれたジャッキを一度に上げていくことが可能です。これより、ジャッキアップの際にかかる力を均等にして、建物への負担を軽減することが可能です。

不同沈下修正工事耐圧板工法(千葉県)
同調ポンプでセットされた全ジャッキを上げる

ご依頼の建物が基礎から持ち上がりました。写真では、ジャッキがある基礎部分と手前に隙間が空いていたり、コンクリートが割れています。建物が持ち上がった証拠です。次回の記事では、ジャッキアップ完了後の納品に向けた施工について、修正された傾きのレベルなどをご覧いただきます。

今回の沈下修正ご依頼までのお客様の主な流れ

  1. 施工開始前の工事説明(1時間程度)
  2. 工事中の現状報告等(数10分程度)

今回、地盤沈下で傾いた建物を持ち上げた工事を見ていただきました。売買物件が傾いている悩みをお持ちの建設会社様や不動産会社様のご参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太