地盤沈下で家が傾いたときの対処法:修理前の準備ガイド

家が傾くと、日常生活にさまざまな支障をきたすだけでなく、建物の構造にも深刻な影響を及ぼします。特に地盤沈下が原因の場合、適切な対処を行わないと再沈下やさらなる被害につながる可能性があります。本記事では、家が傾いた際に修理を行う前にやるべきことをわかりやすく解説します。


1. まずは安全を確保!

家が傾いた場合、まず最初に確認すべきは家族の安全です。以下のポイントをチェックしましょう:

  • 建物内の安全確認:ドアや窓の開閉が困難になっている場合、避難ルートを確保してください。
  • ガス・水道の確認:地盤沈下による傾きで配管が破損している可能性があります。ガスの臭いがする場合は即座に使用を停止し、専門業者に連絡を。
  • 避難準備:見た目で建物が破損している場合、建物内にいるのは危険です。建物の傾きに関しては、よほど傾いていない限りは倒壊の恐れは非常に低いと言えます。いずれにしても焦らず冷静に避難してください。

2. 傾きの原因を把握する

家の傾きがどのように発生したのかを知ることは、適切な修理方法を選ぶうえで重要です。以下の方法で原因を特定します:

  • 目視で確認:地面にひび割れがあるか、基礎部分に損傷があるかを確認してください。
  • 地盤調査を依頼:専門業者に地盤調査を依頼し、地盤沈下の範囲や程度を把握しましょう。特に地震や液状化が原因の場合、専門的な調査が必要です。

3. 修理業者を選ぶ際のポイント

家の傾きを直すには、信頼できる修理業者の選定が不可欠です。ただし、地盤修正業者を選ぶのは、一級建築士にとっても難しいのが現状です。その理由は、建築業界全体が地盤に関する知識を十分に持ち合わせていないことにあります(地盤についての専門知識は、建築ではなく土木の分野で学ばれることが多いためです)。では、どのような点に注意して業者を選べばよいのか、具体的なポイントをご説明します。

① PL保険(地盤特約)や団体賠償責任保険に加入しているか確認する

地盤修正業者には、個人事業主やそれに近い小規模な業者も数多く存在します。一見してHP上ではその規模を判断しにくい場合もありますが、規模が小さい業者では保険に未加入であるケースが多いのが実情です。

個人事業主だから悪いというわけではありませんが、保険未加入の業者が「自社保証で再沈下を補償します」と言っても、その保証内容の信頼性は低くなるでしょう。

保険加入の最大のメリットは、第三者である保険会社が調査を行う点です。補償の大原則は「再沈下の原因が当該工事に起因するものであること」に基づきます。
一方、保険に加入していない業者の自社保証では、再沈下が発生しても工事が原因であることを認めないケースが多く、施主側が原因を解明しなければなりません。これは実質的に非常に困難であり、事実上、保証がないのと同じ状態になってしまいます。

実際に、保証をめぐるトラブルが裁判に発展したケースも報告されています。そのため、PL保険や団体賠償責任保険に加入している業者を選ぶことが最も重要です

沈下修正工事・既存住宅地盤補強工事保険

見積もり内容を細かくチェックする

工事を依頼する際は、見積もりの内容を詳細に確認し、以下の点に注意しましょう:

  • 隙間充填や基礎補強といった重要な作業がすべて含まれているか
  • 不明点があれば必ず質問して解決する

特に、相見積もりを取った場合に価格差が大きい場合は、単純に「安い方を選ぶ」とはせず、各項目をしっかりと比較してください。

なぜ安価なのか、なぜ高額なのか、その理由を業者に説明してもらい、納得のいく施工方法を選ぶことが重要です。見積書には工事工程がしっかり記載されてあります。相見積もりの場合は見積もりを見比べれば工事工程の有無はわかります。(但し業者によって名目が違うので業者にしっかり説明してもらった方がよいでしょう)また、その省かれた工事が建物にとって非常に重要な場合も少なくありません。

特に、工事工程の重要性を理解していない業者、「安さ」を売りにしている業者は、必要な作業を省くことで見積もりを安くし、仕事を受注しようとする傾向があります。相見積もりをするとどうしても金額に目が行ってしまい、「安価だけど大丈夫な業者だ」と自分に言い聞かせてしましまいたくなる気持ちもよくわかります。ですが費用だけでなく、工事の内容と必要性を十分に理解したうえで業者を選ぶことが大切です


4. 修理前の準備

修理をスムーズに進めるために、以下の準備を行いましょう:

  • 被害状況を記録する
     写真や動画で家の傾きや基礎部分の損傷を記録しておくと、業者への説明がスムーズです。保険請求時にも役立ちます。
  • 必要な書類を用意
     修理費用の補助金や保険を申請する場合、地盤調査の報告書や修理計画書が必要になることがあります。事前に確認しておきましょう。
  • 近隣住民への配慮
     大規模な工事が必要な場合、近隣への説明や配慮が求められることがあります。業者と相談しながら進めてください。

まとめ:早めの行動が家を守るカギ

地盤沈下による家の傾きは、放置すると被害が拡大するリスクがあります。安全を確保し、原因を特定したうえで、信頼できる業者に相談しましょう。我妻組では、近隣地盤データの調査から修正工事、アフターケアまで一貫してサポートしています。

家の傾きでお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください!

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このブログを通じて、地盤トラブルでお悩みの方が解決策を見つけられることを願っています。最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太