曳家工事・沈下修正専門会社 我妻組 のホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は、能登半島地震での沈下修正の施工事例を紹介します。新潟県新潟市西区では、液状化により多くの家屋が傾いている状況です。当社にて再沈下修正工事をしましたので、その事例を全2回シリーズでご紹介します。
なお、能登半島地震での住宅傾斜を修繕する場合は、適用になる補助金があるかどうか各市町村にお問い合わせされることをお勧めします。
今回の再沈下修正工事のケースは以下の通りです。
所在地 | 新潟県新潟市西区 |
物件 | 木造2F住宅 |
相談の理由 | 能登半島地震で建物が傾いたため |
現地調査 | 1回 |
沈下状態 | 最大253mm |
ジャッキポイント | 見積時20箇所/施工時23箇所 |
検討期間 | 見積から3ヶ月 |
発注理由 | HP実績を見て信頼できた |
工法 | 耐圧板工法 |
工期 | 1ヶ月 |
付帯 | 5年補償保険加入 |
最大沈下ポイント253mmを戻す
沈下修正工事の施工前と施工後の傾斜レベル計測結果
はじめに、施工前の傾いた家の計測結果と、当社での施工後の計測結果をご覧ください。
家の傾きの許容範囲は、新築住宅で1メートルあたり3ミリ(傾斜角0.17度)以内、中古住宅で1メートルあたり6ミリ(傾斜角0.34度)以内とされています。傾きが1メートルあたり10ミリ(傾斜角0.57度)以上になると、日本建築学会では、健康被害に影響するとされています。また、地震等による外的衝撃によって倒壊の危険性が高まります。
今回の家屋は施工前は1メートルあたり25ミリ(傾斜角1.43度)でした。基礎から家屋をプラス数ミリまで持ち上げて地盤を改良したことによって、傾斜角は0.01度程度まで改善しました。
施工前

施工後

海に近い埋立による分譲地は地震によって液状化やすい
海岸沿いや埋立によって分譲された土地は、地震が発生すると地盤が液状化が起き傾きやすい性質があります。それによって家屋が沈んで傾きます。前述した通り、新潟県新潟市西区の住宅沈下規模はかなりひどくなっています。中には解体して立て直す家屋もあります。
今回の施主様の家屋も大きく傾斜していました。
新潟市は弊社より近いため、相談を受けてすぐに現地調査に伺いしました。傾きレベルを計測し、建物基礎形状や外周の状態や条件を確認しました。一旦、地盤が沈んで傾いてしまった住宅は、完全体のまま傾きを修正できるわけではありません。そのため、工事をすることによって考えられるメリットとデメリットを施主様にお伝えしました。
沈下修正工事のメリットはコスト
建物の傾きを直すか?建物を解体するか?
そもそも沈下修正によって建物の傾きを修繕するメリットは何か?もちろん、住み慣れた住宅が傾いたために、住みにくく危険な状態を原因を直すことに大いにメリットはありますが、建て直すよりも安価に済むコストメリットがあります。
例えば、家を壊して新築するとしたら数千万円かかります。一方、沈下修正工事なら、一般的な建物ならアンダーピニング工法でも5百〜6百万円です。費用としては大幅に安くなります。>>一般的な沈下修正費用はこちら
また、地震保険や震災時の補助金を活用することで、以下のようにさらに安く済みます。
500万円の沈下修正工事を 新潟市の液状化被災宅地等復旧支援事業(液状化修理の宅地等補助金)を活用すると
500万円(沈下修正工事金額)- 50万円(補助金非対象金額)= 450万円(補助金対象金額)
450万円(補助金対象金額)x 2/3(補助率) = 300万円(補助金)500万円の工事に対して300万円の補助金が出るため、施主様の工事費用コストは実質200万円になります。
液状化を起こした地盤は、アンダーピニング工法でも根本的に直せない場合がありますが、液状化による大規模な沈下修正被害が起きると、地盤の知識がない建設業者や工務店は建て替えを提案しがちです。特に、行政から補助金が出る施工に関しては補助上限まで活用する見積を作成します。自社の売上増が見込めるからです。
地盤の知識と長年の沈下修正工事の経験値がある専門業者であれば、建て替えずに済かどうかの判断が可能です。
数千万円をかけて建て直すか、数百万円で沈下修正工事で傾斜を直すかどうかは施主様次第です。
また、沈下修正工事での家屋修繕にはデメリットもあります。建て直せば、住宅は基礎から新しくなるため水平が元に戻って、住みにくさが解消されるだけでなくさらに住みやすい環境になるでしょう。一方で、沈下修正工事では、家屋が沈み込んだ際に損傷されている場合がありますし、家屋を持ち上げる際にも損傷する場合があります。沈下修正工事後に不具合が見つかれば、元に戻すための付帯的な工事が必要になるかもしれません。
したがいまして、当社では工事前にメリットとデメリットを施主様にお伝えしています。

まとめ
今回は、傾斜レベル計測結果と現地調査についてご紹介しました。家が傾いた際には、工務店の他にも経験豊富な専門業者にもご相談されると施主様の選択肢が広がります。また、沈下修正工事は万能ではありませんので、施工業者についてもしっかり調べて、第三者保険機関の補償を設けている業者を選択されることをおすすめします。
次回は、この家屋の施工内容を写真を含めてご紹介します。
>>能登半島地震の液状化現象によって傾いた家を直す〜新潟県新潟市での施工事例(施工編)
最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太)
