曳家工事・沈下修正専門会社 我妻組 のホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は、能登半島地震での沈下修正の施工事例を紹介します。新潟県新潟市西区では、液状化により多くの家屋が傾いている状況です。当社にて再沈下修正工事をしましたので、その事例を全2回シリーズでご紹介します。
前回の記事はこちらよりご覧いただけます。
>>能登半島地震の液状化現象によって傾いた家を直す〜新潟県新潟市での施工事例(現地調査編)
なお、能登半島地震での住宅の傾斜修繕する場合は、適用になる補助金があるかどうか各市町村にお問い合わせされることをお勧めします。
今回の再沈下修正工事のケースは以下の通りです。
所在地 | 新潟県新潟市西区 |
物件 | 木造2F住宅 |
相談の理由 | 能登半島地震で建物が傾いたため |
現地調査 | 1回 |
沈下状態 | 最大253mm |
ジャッキポイント | 見積時20箇所/施工時23箇所 |
検討期間 | 見積から3ヶ月 |
発注理由 | HP実績を見て信頼できた |
工法 | 耐圧板工法 |
工期 | 1ヶ月 |
付帯 | 5年補償保険加入 |
地盤に杭あり
掘削工事をして初めて分かる現場状況
今回の沈下修正工事は、現場経験が豊富な飯澤を職長(現場監督)として3名体制で行いました。まずは、ジャッキセットするための基礎の掘削作業を手作業で行います。家屋の沈下修正工事では、この掘削作業にもっとも時間を有します。この住宅は建物とブロック塀部分がつながっていたため、ブロック塀部分の切り離しを行う必要がありました。つながったまま建物を持ち上げてしまうと、ブロック塀自体が倒壊する恐れがあります。また、配管が多く埋めてあったため、掘削作業に2週間ほどかかりました。
想定以上の重量と軟弱地盤
ジャッキを追加セットして持ち上げきる
今回の物件は、新築時の図面がない物件でしたので現地調査では分かりませんでしたが、地盤にブロック杭が打ち込んであることも判明しました。軟弱地盤に建物を建てる際にとられる基礎工法です。ブロック杭が打ち込んであると建物を持ち上げる際に大きな力を必要とします。
見積もり通りのジャッキ数で一度持ち上げを試みましたが、ブロック杭によって想定よりも建物重量が重くなったため一度で持ち上げることができませんでした。ジャッキ数とその出力は、建物の重量と地盤の状態によって計算されているためです。ジャッキの出力を上げても地盤が軟弱なために、ジャッキ自体が地盤にめり込んでいってしまいます。
こういった現場ではじめて判明する状況がある場合は、工期が伸びる原因にもなります。施主様にご相談差し上げ、ジャッキポイントを3箇所増やして持ち上げました。
持ち上げ時にタイル部分の割れ
今回の物件は、能登半島地震によって大きく沈み込んだために、建物を持ち上げたことによって外壁タイルが割れてしまいました。柱の一部が腐っていました。こういった建物損傷のデメリットは、事前説明で了解をいただいていましたが、沈下修正工事の施工では、特に家の傾きを修正する差が大きければ大きいほど、家を持ち上げる力に耐えられない壁の面積が小さい箇所で起きやすくなります。
掘削穴や持ち上がった隙間への打設
埋め戻し
沈下修正工事の最後の工程は、持ち上がった箇所全てにミルクセメントを打設して地盤を改良します。これによって、地盤の強度が上がって再沈下しにくくなります。掘削した箇所はもちろんのこと、基礎下に通じる箇所に穴を開けて、隙間が全て埋まるように丁寧に流し込みました。セメントが固まれば土を埋め戻します。今回は、この作業には1週間ほど要しました。
なお、上記の画像の基礎部分に線が見えるのは、住宅がそこまで沈み込んでいた跡です。
家の傾きが水平に戻った!
全作業終了後のレベル計測と確認
床と天井の水平が同じ70mmになりました。
まとめ
今回の施工では、現場でジャッキを増やすため多少工期が伸びましたが、ほぼ想定通りに工事を完了できました。施工前と施工後の傾斜レベルは前回の記事でご覧いただけます。よろしければご覧ください。
>>能登半島地震の液状化現象によって傾いた家を直す〜新潟県新潟市での施工事例(現地調査編)
最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太)
