もしご自宅に傾きが出てきたら、地盤沈下によるトラブルかもしれません。家の傾きを直す「沈下修正工事」は、建物の安全性を守るために欠かせない工事です。
その中でも、工事の仕上げとして重要なのが「隙間充填(すきまじゅうてん)」です。意外と見落とされがちですが、この工程をおろそかにすると、数年後に再び沈下してしまうリスクがあります。
この記事では、沈下修正工事における「隙間充填」の役割と、確認すべきポイントを、専門業者の視点からわかりやすく解説します。

隙間充填とは?
「隙間充填」とは、沈下修正工事で建物を持ち上げて水平に戻した後、基礎の下にできた空間(隙間)に専用の材料を注入して埋め戻す作業です。
この工程には、以下のような役割があります。
- 地盤の強度を回復させる
- 建物の再沈下を防止する
- 防水性・気密性を高める
- 地盤沈下による近隣トラブルを防ぐ
しかし、近年では地震や地盤の緩みによる沈下案件が増えたことで、専門知識が不十分な業者の参入も増加。本来必要な「隙間充填」を行わずに工事を終える例も見られるようになってきました。

専門業者が使う「隙間充填材」の特性とは?
沈下修正のプロである我妻組をはじめとした専門業者では、地盤の特性に合わせて専用の軽量材料(ミルクセメントや流動化処理土)を使います。
ポイントは以下の3つ
- 重量:軽いほど良い(地盤に負担をかけにくい)
- 強度:一定の圧縮強度が必要(沈下防止のため)
- フロー値(流動性):高いほど良い(隙間の奥まで届く)
例えば、生コンクリートやモルタルは一見丈夫そうですが、重くて流動性が低いため、隙間の隅々まで行き届かず、再沈下のリスクが高まります。

「隙間充填されているか?」のチェックポイント
① 見積書・契約書の記載を確認
隙間充填が行われているかは、見積書に以下のような記載があるかで判断できます。
良い例
- 「隙間充填(ミルクセメント)」
- 「基礎下空隙充填グラウト注入」
- 「空隙充填(流動化処理土)」
要注意な例
- 記載が一切ない
- 「基礎下モルタル注入」とだけある(※重量・流動性に不安あり)
② 現地を目視で確認
次に、ご自宅の基礎周辺を見てみましょう。以下のような状態があれば、隙間充填が不十分な可能性があります。
- 基礎下に空洞が見える
- 地面に亀裂や穴がある
- 周囲の土が減っている

隙間充填がなされていない場合のリスク
- 数年以内に再び建物が傾く可能性
- 周囲の地盤に影響を与え、近隣住宅へ被害が波及することも
- 万が一の際に、補償内容が不明確なままだとトラブルに発展
隙間充填を行わなかった場合、建物の大部分が浮いている状態になります。そこに再び地震が来て支持台が破壊されてしまうと、何十トンもある建物が地面に叩きつけられます。例えば、20cmジャッキアップしたのなら一瞬で20cm落下することになります。
もし不安がある場合は、施工した業者に工事内容の詳細や保証の有無を確認しましょう。「大丈夫」と言われても、保証内容が契約書に書かれていない場合は要注意です。

安心できる沈下修正工事のために
沈下修正工事は「家を持ち上げて終わり」ではありません。最後の「隙間充填」までしっかり行ってこそ、安心できる住まいが守られます。
ご自宅の傾きが気になる方、過去に工事をしたけれど不安がある方は、一度、見積書や施工内容を見直してみることをおすすめします。
また、隙間や空洞を放置していると数年後に突然、再沈下するリスクがあります。こちらの記事もご覧ください。
▶ https://wagatsumagumi.jp/202411but-subsidence/
まとめ
- 「隙間充填」は沈下修正工事で最も重要な工程のひとつ
- 使用する材料の特性(軽さ・強度・流動性)が再沈下のリスクを左右する
- 見積書の記載と基礎周辺の目視確認がトラブル回避のカギ
- 必要に応じて施工業者に説明・保証の確認を
あなたの大切な住まいを長く安全に保つために、施工内容の「見える化」と「確認」はとても大切です。
我妻組では、初めての方にも分かりやすく丁寧にご説明いたします。沈下修正工事についてお気軽にご相談ください。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太)
