曳家工事・沈下修正専門会社 我妻組 のホームページご覧いただき誠にありがとうございます。

今回は曳家工事の完了までの流れについて、実際にあった内容を元に全3回に渡るシリーズでご紹介する2回目です。お寺や文化遺産等の「建築物基礎改善」、そのままの形を維持する必要がある「建物の移動」をされたい方は参考にいただければ幸いです。
前回の記事はこちらからご覧いただけます。

なお、曳家工事とは家引きや曳屋とも呼ばれる建物を解体せずにそのまま移動することです。住宅、ビル、お城までそのままの状態で移動することができます。「道路拡張工事」や「区画整理」の「土地の有効活用」に有効です。よろしければ、弊社の曳家工事事例もご覧ください。

今回はお寺の山門(仁王門)の曳家工事です。ケース概要は以下の通りです。

所在地山形県朝日町
物件永林寺 山門(仁王門)
相談の理由地元工務店様からの曳家移動依頼
工事の理由老朽化改修工事にあわせて基礎の土台工事
現地調査1回
検討期間現地調査から1年
発注理由工事方法と見積金額に納得
工法曳家工法(移動2回)
工期約1ヶ月半

山門動く

約2週間かけて段取り後、1日かけて約20cm浮かせた山門がとうとう移動します。
元の山門の下に基礎を新たに作るため、その工事ができるようにスペースがある道路側の手前まで5m移動させます。今回はローラーではなく、昔ながらのコロ(丸棒の円柱形道具)を使って動かします。コロは構造が単純なので、強度も強く、曳家に慣れている職人にとっては非常に扱いやすく味がある道具です。

前回の記事でもお伝えしたように、建物は移動することを考慮されていないため、移動中は上下横の揺れに気を使わないといけません。特に古い建造物は慎重さと経験値が問われます。移動中の山門の荷重は、全て鋼材にかかっていて、その鋼材を縦横に組んだ枕木とレールが支えています。電車が走る線路みたいな構造です。

2名体制でゆっくりと2時間程かけ、仮置き場となる場所まで移動しました。

仮置き場に移動を終えた山門は、道路から近く見えて堂々としていました。新しい基礎ができるまでの約1ヶ月間は、このまま浮いた状態です。百年以上前にこの山門ができた時には、この位置に移動されることが想定はされていたのでしょうか。曳家作業中でしか見られない宙に浮いた山門の風景になりました。

1ヶ月間、雨風に耐えるようにしっかり固定して曳家作業が一時完了しました。

今回の曳家仮置きまでの工務店様の流れ

  1. 地きり(1日)※立会い特に必要なし
  2. 移動作業(2〜3時間)※立会い特に必要なし
  3. 移動完了報告(10分程度)

今回のお客様とのやりとりは事前説明をおえているために電話だけで完結しました。
もし、曳家工事をお考えの方がいらっしゃいましたらご参考にされてください。
次回は、この山門の曳家移動・基礎工事完了までをご紹介します。

最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太