曳家工事・沈下修正専門会社 我妻組 のホームページご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は地盤沈下した住宅の薬液工法による不同沈下修正工事の発注から完了までの流れについて、実際にご依頼いただいた内容を元に全4回に渡るシリーズでご紹介させていただく2回目です。前回の記事はこちら。
住んでいる住宅が「基礎が沈んでいる」「壁にヒビが入っている」「傾いている」と思った方は、ご参考にいただければ幸いです。
なお、不同沈下修正工事とは、地盤に何らかの変化があって沈下や不良になった建物を基礎から持ち上げて傾きを直す工事です。主に地震の影響によるケースや軟弱な地盤に家を建てたケースがほとんどで、地下水の汲み上げ等によっても発生することがあります。
今回の住宅の不同沈下修正工事のケース概要は以下の通りです。
所在地 | 茨城県稲敷市 |
物件 | 木造2階建て70平米住宅 |
相談の理由 | 検索で弊社ホームページを見てメールお問い合わせ |
工事の理由 | 新築後住宅に傾きを感じた |
現地調査 | 1回 |
沈下状態 | 最大60mm |
検討期間 | 相談から約1ヶ月 |
発注理由 | 相談から現地調査で信頼できると思った |
工法 | 薬液注入工法(地盤補強:5箇所、薬液注入量:予定20,000L、実施34,000L) |
工期 | 1ヶ月 |
付帯 | 5年補償保険加入 |
資材の運び込み、薬液注入工法の準備
ご依頼から約1ヶ月半後、我妻組の沈下修正職人3人が現場に入りました。年明けから施工していただきたい施主様の意向があったため、ご契約から少し時間が空きました。今回の施工職長は経験15年以上の渡部です。工事が完了するまで、現場付近に泊まり込みで作業します。まずは、我妻組本社から薬液注入工法で使用する資材と機材を搬入しました。
不同沈下修正の薬液注入工法について、ご存知ない方のために簡単にご説明します。
地盤沈下を修正する薬液注入工法とは
薬液注入工法は、地盤に注入管を通して薬液を投入することで、地盤を固め、建物を修正する工法です。この工法は「化学」の力を活用して、傾いた住宅を元の状態に戻すために使用されます。薬液は、瞬時に固まりはじめ建物を支える十分な強度になります。
薬液注入工法の特徴とメリット
- 地盤強化:注入する薬液が地中から地盤を固めてくれます。
- 低騒音・低振動:重機を使わず人の手で作業できるため、それほど大きな騒音や振動がありません。
- 工期と費用の圧縮:他の沈下修正工法に比べて工期が短いため、施工費用も比較的安価です。
- 居住中でも施工可能:工事中も住んでいられる利点があります。
薬液注入工法の主な流れ
- 穴あけ:手作業で掘削してボーリングなどで薬液を注入するための穴を開けます。
- 注入: 注入管を通して薬液を注入します。
- 固結待ち:薬液が膨らみ・固まるのを待ちます。
- 傾き修正:注入が完了したら、建物の水平を測定しながら修正を行います。
薬液注入工法の注意点
- 薬液選定:使用する薬液によっては土壌を酸性やアルカリ性に変化させてしまう可能性もあります。
- 構造物への影響:注入する際に、もぐら穴や配管亀裂があると、薬液が入り込んで意図しない箇所も固まってしまう場合があります。また、近隣構造物に影響を及ぼすことがあるため慎重に計画して施工できる業者が必要です。
手作業での掘削、薬液管ハンマードリルセット
資材を運び込んで、薬液注入の準備ができると、計画に合わせた箇所を手作業で掘削します。
ハンマードリルでボーリングしながら、目標となる地中3mに管を入れていきます。ドリルに繋がった二本の管にセメントと薬液が別々に注入され、地中で混ざり合わさって固まる地盤が持ち上がる仕組みです。
今回の沈下修正ご依頼までのお客様の主な流れ
- 施工説明の立会い(数10分)
- 施工準備
今回は、薬液注入工法の説明とその準備についてご紹介しました。
次回の記事では施工についてご紹介します。
同様の地盤沈下で悩みをお持ちの方のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。(文・我妻組 代表取締役 我妻敬太)